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マーラーの音楽

実はわたしが小学生の頃には、マーラーという作曲家は、一般の人にとっては無名の作曲家でした。

それが高校生の頃になると、音楽の教科書の口絵に、バッハやベートーヴェン、モーツァルトと並んで写真が掲載されるようになりました。その後もどんどん人気が上がって、いまやオーケストラの演奏会においては最大の人気作曲家となっています。

マーラーの音楽の特徴は、非常に内面的なナイーヴなところから着想して、重層的で長大な作品に発展するという点にあります。その点が、20世紀の後半になって、個の時代への転換の波に乗り、評価を高めた要因かと思います。

そういった点で、大部の小説「失われた時を求めて」を書いたフランスの小説家マルセル・プルーストと共通する部分があります。

共にユダヤ系、7月生まれで、生きた時代も19世紀の終わりから20世紀の初頭に掛けてでした。同じく50歳前後で亡くなるまで作品を書き続け、未完の作品を残し、かつ今その未完の部分を含めて今わたしたちが享受することが出来ているという点でも似ています。

マーラーは、その1番から10番までの交響曲全体が大河小説のようなものだといわれたりします。(ますますプルースト的!) そのせいもあってか、最近はCDの交響曲全集では、曲ごとに盤を分けずに楽章単位で連続して収録されたりします。

まあ、単純にCDの枚数を減らして価格を安くするため間を詰めたという営業的理由のようですが、デジタル・音楽プレーヤーの普及によって、全交響曲を通しで聴く、そういうスタイルも可能になったということでもあります。