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美輪明宏の 『黒蜥蜴』

5月5日にル テアトル銀座で、美輪明宏の『黒蜥蜴』を見てきました。

芝居を見るのは、前のほうの席に限ります。表情が肉眼ではっきり見えるのが観劇の必須要件ですね。今回やや舞台上手にはなりましたが、前から5列目でなかなかいい席でした。

美輪明宏の芝居を見に行くのは三島由紀夫の戯曲だから…です。しかし、美輪明宏の存在感が大きく、タイトルも「美輪明宏の」としました。

作家の支配性の強い三島作品の舞台で、俳優あるいは演出家の名前を冠するのは馴染みませんが、美輪明宏の場合は別格です。

さらにこの作品は原作が江戸川乱歩によるものなので、より事情は複雑です。江戸川乱歩→三島由紀夫→美輪明宏まで、ある意味、換骨奪胎の連鎖によって成り立った舞台とも言えます。

ストーリーは浮き世離れした幻想的なものですが、美輪明宏が司祭となって、一瞬幻想が煌めいてリアルだと感じ取れる瞬間があるんですね。それを期待して行きましたが、期待に違わず、何度か幻想がリアルに煌めきました。

元々三島の戯曲には、「このレトリックを観客に説得するのは難しいだろう」と思われる部分が存在します。それがこの煌めきによって、すっと腑に落ちるんです。

他の追随を許さない演出と演技、美輪以外の人ではなかなかこうはいきません。

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