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キング・クリムゾンとエマーソン・レイク&パーマー

1969年にビートルズの解散が決定的になったあと、わたしはイギリスのプログレッシヴ・ロックをよく聴くようになりました。

ピンク・フロイドの『アニマルズ』の話を書いたついでに、同様に驚天動地という点で、最高と思われるプログレッシヴ・ロックのアルバムを2枚紹介しておきたいと思います。キング・クリムゾンの『ラークス・タング・イン・アスピック』(邦題「太陽と戦慄」)と、エマーソン・レイク&パーマーの『ブレイン・サラッド・サージリー』(邦題「恐怖の頭脳改革」)です。

両アルバムとも、バンドとしての頂点を示した傑作です。

『太陽と戦慄』
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『恐怖の頭脳改革』
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キング・クリムゾンでは『クリムゾン・キングの宮殿』を、エマーソン・レイク&パーマーでは『タルカス』を最高作として挙げるひとも多いかと思います。確かに、これらのアルバムも両バンドの代表的アルバムであり、素晴らしい内容を持っています。しかし、アルバム全編を通してバンドとしての最高のテンションの持続を感じさせる点で、前記のアルバムのほうが上だと考えています。

いずれも1960年代のアルバムですが、どうも当時は大胆な邦題をつけたものです。それが洋楽をいまより身近なものにしていたかもしれません。

1980年代に入ると、海外も身近となって情報化も進み、英語も身近になったこともあってか、カタカナ書きが一般的になり、邦題をつけることも少なくなりました。

ピンク・フロイド

先日雑誌にピンク・フロイドの「マネー」についての短い解説を書く仕事があり、改めてピンク・フロイドについて考える機会にもなりました。

そこで今回は、ピンク・フロイドについて書いてみたいと思います。

ピンク・フロイドといえば、何といっても『ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン』(邦題「狂気」)の名前が挙がります。ビルボード・チャートの200位以内に15年以上連続ランクインした記録は大変なもので、オーディオのリファレンス音源としても重宝され、新しい音響システムが開発される度に試聴音源として繰り返し取り上げられます。

しかし、アルバムの評価としては微妙です。

当時から楽器を演奏するひとの間では、それほど評価は高くなく、どちらかといえば普段プログレッシヴ・ロックなど聴かない人たちの間で人気があったような気がします。また、そうでなければ、あれほどのセールスは達成できなかったでしょう。

実際それまでのピンク・フロイドの魅力といえば、インプロヴィゼイションの混沌の中から突如として巨大なものが立ち上がるといった印象のサウンドにありました。例えば『おせっかい』というアルバムに収録された「エコーズ」がそうですが、本領発揮となればピンク・フロイドの独壇場で、他を圧倒する迫力がありました。

正直その他の大半の曲はかったるさをぬぐえなかったりしたのですが、その点で、未完の大器といった風情もありました。

それが、きれいに整理されて姿を現したのが『狂気』だったと思います。かったるい曲は姿を消した一方、ピンク・フロイドの本来の魅力については物足りなさを感じるアルバムだったかもしれません。

ピンク・フロイド・ファンの間では『炎~あなたがここにいてほしい』が人気があるようですが、わたしとして、間違いなく最高傑作だと思うのは、『アニマルズ』です。このアルバムは「ドッグ」「ピッグ」「シープ」という大曲3曲を中心に構成され、いずれの曲も疾走感とすごみを感じさせる最高度の緊張感を保ったアルバムです。

『アニマルズ』
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ISOとF値とシャッター・スピード

もう少し、カメラのレンズの明るさに関して書いてみたいと思います。

撮影の際にいじれるカメラのパラメータは、ISO感度、F値(絞り)、シャッター・スピードの3つしかありません。この3つがどう関係するかということです。

「ISO感度」は、昔のフィルムの感度をシミュレーションしたもので、100、200、400と数字が2倍になるごとに感度が2倍になります。

「F値」は、数字が1.4倍になるごとに、明るさが半分になります。わたしのカメラのF1.8を基準にすると、2.5、3.5、4.9となることで明るさが1/2、1/4、1/8になります。

「シャッター・スピード」は、1/15秒、1/30秒、1/60秒と速くなれば光を採り込む時間が短くなるため、暗くなっていきます。

つまり、シャッター・スピードを固定にすると、

ISO400でF1.8 = ISO800でF2.5 = ISO1600でF3.5 = ISO3200でF4.9

これらがすべてイコールとなり、同じシャッター・スピードの時に同じ明るさで写真が撮れる設定ということになります。

一方F値(絞り)を固定にすると、

ISO400で1/15秒 = ISO800で1/30秒 = ISO1600で1/60秒 = ISO3200で1/120秒

シャッター・スピードを2倍にするには、1段階明るい感度が必要になるという訳です。

わたしのカメラはどうやらISO400が限界で、これ以上感度を上げるとノイズが多くなって使えません。このため、ISO感度は400までとして、シャッター・スピードをなるべく遅くし、1/30秒か、1/45秒で撮っています。シャッター・スピードが遅くなれば、アーティストが動くので被写体ブレが出ます。シャッター・スピードは、できれば最低でも1/60秒くらいにはしたいところです。

一眼レフでは撮像素子の大きさのおかげで、2段階くらいは高感度に強そうなので、ISO1600までなら安心して撮れそうです。

しかし、一眼レフのレンズ・キットによくある標準ズームのF3.5のレンズでは、感度をISO1600に上げても同じ程度の撮影しかできないことになってしまう訳です。

一眼レフで、F1.8やF2.5のレンズを手に入れれば、圧倒的な向上になるはずですが、単焦点レンズならともかくズーム・レンズだと、これがめったにないんですね。

巨大なカメラ

前回デジタル・カメラの撮像素子について書きましたが、撮像素子が大きくなれば画質に関しては有利になる反面、残念なことにカメラはそれに比例して大きくなっちゃうんですね。

スペックだけで選んでいくと、本当に巨大なカメラになってしまいます。一眼レフのあのずんぐりむっくりした感じも、わたしはいまひとつピンと来ませんでした。価格も相当なものになります。

そこで買い換えた2台目のカメラも、1/1.7の撮像素子を積んだコンパクト・デジタル・カメラになりました。SAMSUNGのTL500というカメラです。

SAMSUNG TL500
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 光学ズーム範囲:24mm~72mm(35mm換算)
 F値:1.8(広角端)~2.4(望遠端)

このカメラは韓国製で、日本では販売していないので、米国のamazonから購入しました。

F値というのがカメラのレンズの明るさを表しますが、TL500のF値はF1.8で、コンパクト・デジカメの中では最も明るいレンズを搭載しています。

これで、だいぶ撮れる範囲は広がりましたが、まだ暗いステージでは思うような写真が撮れないこともあります。

ライブハウスでフロアが混んでくると、大きなカメラを構えて動き回るなんて無理ですからね。なんとかカメラは大きくせずに、暗い場面でも余裕を持って撮れるカメラを手に入れたいと思う日々です。

デジタル・カメラの撮像素子の大きさ

ライブハウスでの撮影を始めるに当たって、レンズの明るいカメラを探して買ったつもりだったんですが、あとになって知ったのは、デジタル・カメラの撮像素子の大きさに大きな差があることでした。

デジタル・カメラの撮像素子の大きさ
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上の図が、一般的に使われているデジタル・カメラの撮像素子の大きさですが、だいたい5種類くらいあります。

フルサイズというのが、35mmフィルムの大きさに近いもので、これだとフィルム時代の一眼レフ用交換レンズが使用可能です。高級一眼レフに使われています。

ひとサイズ小さいAPS-Cというのが、中級、エントリー機の一眼レフに使われている大きさです。

フォーサーズは、オリンパスやパナソニックのミラーレス一眼に使われている大きさです。

その下のふたつが、コンパクト・デジタル・カメラ使われているのもので、大半のデジカメは1/2.3、高級コンデジといわれる一部の機種で1/1.7のものが使われています。数字の単位はインチです。

わたしの買ったカメラは、1/1.7のものでした。

暗い場所での撮影は光が限られるため、大きい撮像素子で受光したほうが有利なのは間違いありません。

フィルム時代には、プロ専用の大判のフィルムを使うカメラを別にすれば、一眼レフからレンズ付きフィルムの使い捨てカメラまで、35mmフィルムという同じサイズのフィルムが使われていましたから、これは衝撃でした。

ライブハウスでの写真撮影

1週間前にライブハウスで撮った写真がうまく録れてなかったので、またぞろ新しいカメラが欲しくなってきました。とはいっても、「これだ!」というカメラはなかなか見つからないんですけどね。

写真はインディーズチケットオンラインを始めてから、撮るようになりました。ライブハウス以外ではほとんど写真は撮らないので、ライブハウス専門で撮っています。

ライブハウスでの撮影は結構難しいです。

暗い、逆光、被写体が動くという、写真撮影に厳しい条件が3つ重なっています。なかなか上手く撮れないところが、面白いところかもしれません。

暗いというのは、ライブハウスではアーティストに照明が当たっていないことが多いからです。

一般のステージ照明と違って、ライブハウスの照明は演奏効果を演出することが主目的で、必ずしもアーティストに光を当てるということではなさそうです。そのため、照明が客側に向いて、フロアからステージを見た場合逆光になっていることが多いです。

さらには、アーティストの希望で照明自体を暗くすることも多いですね。

フラッシュは、照明効果のじゃまになりますし、撮った写真も雰囲気をなくしてしまうので使えません。

そこで、明るいレンズで、高感度に強いカメラが必要になってきます。

ビートルズの二度と出てこない楽器

ビートルズのサウンドは、『ハード・デイズ・ナイト』まではいわゆるバンド・サウンドだったんですが、『ヘルプ!』あたりから変わってきます。

何が変わってきたかというと、バンドが演奏する音の範疇を超えて、1曲1曲の楽曲が要求するサウンドになっていきます。他のロック・バンドが、バンド・サウンドから抜け出ることがなかった中で、当時から特別なサウンドを作っていたと思います。

その先駆けとなったのは、「イエスタデイ」ですね。演奏はポールのアコースティックギターと弦楽四重奏で、他のメンバーは参加していません。

この点はレコーディング・プロデューサーのジョージ・マーティンの影響が大きいのでしょうが、1曲の中でたった1小節であっても、必要な楽器があるとなったら、あらゆる楽器奏者を連れてきてでも、レコーディングをしたという印象です。

それがまた、必要と思ったところだけにしか使わないという、非常に贅沢な使い方です。それが、ビートルズのサウンドを特別なものにしています。

一例を挙げれば、「イエロー・サブマリン」で、2コーラス目のサビに入る前に1ヶ所だけブラス・バンドの演奏が入ります。それがたった2小節しかなくて、その後ブラス・バンドの音は出てきません。

『イエロー・サブマリン』
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普通「ブラス・バンドが必要だよね」ってなったら、おそらくブラスバンド入りのアレンジを考えることになって、最後のサビのリフレインはブラスバンドのオンパレードになりそうなものですが、ビートルズの場合は2小節だけで終わって、もう二度と出てこないんです。

ビートルズの「ドライブ・マイ・カー」

『ハード・デイズ・ナイト』の頃からビートルズは、1曲目の重要性を考えていたように思います。

1曲目で聴く人をじゅうぶん引きつけることの重要さです。このブログの最初に書いた「ヘルプ!」もアルバムの1曲目でした。

以下がビートルズの主要なアルバムの1曲目の一覧です。

「ハード・デイズ・ナイト」
「ヘルプ!」
「ドライブ・マイ・カー」(『ラバー・ソウル』)
「タックス・マン」(『リボルバー』)
「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」
「バック・イン・ザ U.S.S.R.」(『ザ・ビートルズ』)
「カム・トゥゲザー」(『アビー・ロード』)

「バック・イン・ザ U.S.S.R.」は少し弱いような気もしますが、他はいずれもアルバムのトップを飾るにふさわしいインパクトの強い曲です。中でも最初に聴いたときの衝撃を鮮烈に思い出すのは、『ラバー・ソウル』の「ドライブ・マイ・カー」です。1965年という発表時期を考え合わせると、その斬新なサウンドには改めて驚かされます。今聴いてもすごい曲です。

『ラバー・ソウル』
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不安定感をただよわせるギターのイントロに続いて歌が出てきます。メイン・ヴォーカルのポール・マッカートニーはベースに対して四度上の音程を歌っています。ジョン・レノンのハモりが入っていますが、メイン・ヴォーカルの五度下です。ハモりは、ベースに対しては7thの音になります。

後半でジョージ・ハリスンがコーラスに加わって3声のコーラスになり、半音下がってサビとなります。この接続も魅力的です。

不思議なサウンドです。あんなサウンドの曲は、その後も聴いたことがありません。

ビートルズの『ハード・デイズ・ナイト』

ビートルズの曲は、いま聴いてもいろいろ発見があります。個々の曲はもとより、なによりアルバムの構成力がすごい。

ビートルズが登場するまで、アルバム(LP)というのは、シングルでヒットした曲を中心に、シングルにならなかった曲やら何やらを集めて1枚に仕立て上げたものでした。聴き終えて、「やっぱりヒット曲はいいよね」という、シングルのヒット曲の良さを再確認するような感想で終わるものだったのです。

それを逆転させて、アルバムこそ聴くべきものに押し上げたのが、ビートルズでした。

ビートルズのアルバムの中で、アルバムを構成しようという意志が明確になってきたのは、アルバム『ハード・デイズ・ナイト』以降だと思います。全曲オリジナル曲で構成されるようになったのも、このアルバムからです。

『ハード・デイズ・ナイト』
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『ハード・デイズ・ナイト』は同名の映画のサウンド・トラック盤でもあって、映画に使われた曲がA面に、B面は映画では使われていない曲が収録されています。

そういうふうに作られたアルバムであるにもかかわらず、1曲目の「ハード・デイズ・ナイト」から始まって「アイル・ビー・バック」で終わる流れがじゅうぶんに感じられるのは、なんとも不思議な気がします。ビートルズの曲作りの才能のなせる技なのでしょう。

村上隆の本

村上隆というアーティストがいます。去年の9月にフランスのベルサイユ宮殿で個展を開いて話題になりました。

その村上隆が『芸術起業論』と『芸術闘争論』という、2冊の本を書いています。

『芸術起業論』
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アートの世界で成功するには、作品が西洋美術史の中でどういう文脈を持っているかを示すことがいちばん大切なことで、自分がいかに戦ってきたかというのが最初の『芸術起業論』。

『芸術闘争論』
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2冊目の『芸術闘争論』は、二十世紀後半になってアートの世界の中心がフランスからイギリス、アメリカに移行し、流れが変わった中で何をすべきか。実作の方法にも言及し、美術教育に対する提言へと踏み込んでいます。

どちらの本も、最初から世界で戦う気力を喪失してしまったような日本の美術界の現状を憂いて、反面教師的に身も蓋もない成功への方法論の話をあけすけに書いています。音楽の世界と重ね合わせても非常に示唆に富む内容なので、わたしは感心しながら読みました。

音楽にも役立つ話として読む訳ですから、本来の文脈とはずれた読み方をしていることは重々承知の上で、なるほどと思った次のような一節がありました。

「よい作品を作るには通常作品の完成度が高いとか上手いというところに行きます。しかしそれは二番目のプライオリティです。
 いちばん大事なのはサプライズ、驚きです。」(『芸術闘争論』)

この文章は展覧会に出す良い作品はどういうものかについて述べた部分ですが、「ああそうだよなぁ」と納得したことを覚えています。

インディーズのCDでなかなかいいと思ったものでも、1曲目にインパクトがないことが多いんですね。

それにつけても、ビートルズのアルバムの1曲目には驚かされたよなぁということを思い出しました。

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筆者のプロフィール

  • 竹内 晃

  • 1953年巳年生まれ
    電子楽器メーカーコルグに30年間勤務。退職後インディーズチケットオンラインを立ち上げ、現在に至る。

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